風雅の宿 長生館

島津光夫博士と村杉温泉

The study

新潟大学名誉教授 島津光夫博士と村杉温泉

村杉温泉の謎を解く

村杉温泉は全国でも数が少なく貴重な放射能泉ですが、どのように地下水から温泉へと変化を遂げるのかはよくわかっておりませんでした。
村杉温泉が含む成分の由来や、地下でどのような湯脈になっているのかを調べる為に、温泉や五頭山一帯の地質に詳しい新潟大学名誉教授・理学博士の島津光夫先生とご一緒に村杉温泉一帯の地質を調査し、考察致しました。 また、2011年の福島原発事故により多数のお問合わせを頂いた放射能泉の安全性についても、島津博士にお話を伺う事が出来ました。
専門家による学術的な観点からのお話はとても興味深い内容ですので、是非ご一読下さいませ。

島津光夫博士プロフィール

岩手県一関市に生まれる。東北大学理学部岩石鉱物床学科卒業。東北大学理学部助手、工業技術院地質調査所技官をへて新潟大学理学部助教授。新潟大学理学部教授。新潟大学理学部部長。県立新潟女子短期大学学長。退職。新潟大学名誉教授。新潟県立女子短大名誉教授。

< 著書 >

新潟温泉風土記/野島出版、岩手の温泉を探る/一関プリント社、牧之と歩く秋山郷/野島出版、 秋山郷の地学案内/野島出版、離島佐渡/野島出版、離島佐渡第二版/野島出版、新潟と東北/野島出版、 新潟の石油・天然ガス10話/野島出版、日本の石の文化/新人物往来社、毛越寺庭園物がたり/一関プリント社、 グリ-ンタフの岩石学/共立出版 など著書多数

島津博士執筆 村杉温泉はどんな温泉か

村杉温泉の地質調査報告

村杉温泉には何故ラドンが含まれるのか?
いくつかの説はありますが、ハッキリとした理由はわかっておりませんでした。
その謎を探る為に、2008年に島津博士と共に村杉温泉一帯の地質調査を行いました。
その結果からわかった事や、村杉温泉の地質、地学的見地からみた五頭山の歴史などを島津博士にご執筆頂き、1冊の冊子に致しました。
とても読みやすく纏められておりますので、ご興味のある方は是非お読みください。

調査報告を読む(PDF)

島津博士による放射能泉の安全性についてのお話

福島第一原子力発電所の事故以来、放射能泉についてもご心配をされて、多数のお問合わせを頂きました。
そこで、村杉温泉に詳しい島津光夫博士にご意見をうかがったところ、「福島で問題になっているセシウムやヨウ素と放射能泉のラドンはちがいますが、放射線の影響と言う点では同じです。しかし、結論的には心配ないと思います」というご回答を頂きました。
さらにし詳しい内容をお聞かせ下さいましたので、その内容を掲載致します。

放射能と放射線はどう違うのですか?

放射能とは、ある種類の原子が「放射線」をだして、別の種類の原子に変わってしまう性質のことです。放射能の強さは毎秒何個の原子が別の原子に変わりつつあるという数値であらわします。1秒間に1個の割合で変わりつつあるときには1ベクレル(Bq)といいます。放射能泉ではマッヘという単位を使っていますが、1マッヘは1キログラム(水の場合は約1リットル)あたり13.5ベクレルです。

放射能を持った原子が別の種類の原子に変わるときに出すものを「放射線」といいます。私たちが浴びるのはこの放射線で、放射線を浴びると細胞に影響を与えますが、私たちの身体が放射能をもつわけではありません。

放射線にはアルファ線(α)、ベーター線(β)、ガンマ線(γ)、X線があります。放射線の量をあらわすのに「シーベルト」と言う値が用いられています。これは、私たちが放射線をどれだけ浴びたかという値です。放射線の種類によって身体に与える力が違いますので、いろいろ調べてある係数を掛けて値を出しています。普通マイクロシーベルトですが、放射性物質が多いところでは、ミリシーベルト、さらにシーベルトとなります。
※1シーベルト=1000ミリシーベルト=1000000マイクロシーベルト

天然にあるラドンの出す放射線と福島原発で原子炉の中でできた放射性物質の出す放射線はどう違うのですか?

自然放射線と人工放射線の違いです。自然放射線は宇宙線によってつくりだされたものが出す放射線と天然にある放射性元素(鉱物や岩石中の)によるものがあります。岩石中のものは放射性のあるカリウム40(K)やルビジウム87(Rb)がおもなものです。花崗岩はカリウムが多いのでやや高い放射線をだします。また、ウラン系列のラジウムやラドン、トリウム系列のトロン(ラドン220)などがあります。このような多様な放射線(おもにガンマ線)によって私たちは一年間におよそ1ミリシーベルトの放射線を浴びています。

人工放射線は核実験や原発事故によって放出される放射性物質、医療での放射線利用によりでてくる放射線です。福島第一原発事故では放射性のあるヨウ素(I)、セシウム(Cs)、ストロンチウム(Sr)、プルトニウム(Pu)が放出され、それらから放射線がでています。

自然放射線も人工放射線も、放射線の上では基本的に変わりがなく、私たちの身体の細胞に影響を与えますが、その量と体内に留まる時間が問題です。

(参考)ウランからラドンに変わる過程(系列)を途中省略して簡略に以下に示します。自然放射線の場合はウランの大部分を占めるウラン238(238U)からの変化、人工放射線の場合は原子炉の燃料となるウラン235(235U)からの変化として示します(下の欄は半減期)。

福島第一原発から放出された放射性物質の影響として、環境放射能(空間線量)と食品の放射能汚染が報道されていますがどう違うのですか?

結論的にいいますと、外部被曝と内部被曝の違いです。現在問題になっているのはセシウム137,セシウム134、ヨウ素131、ストロンシウム90(半減期29年)です。放射性ヨウ素は半減期が短いので 11ケ月過ぎた現在は、問題になっていません。国の示しているセシウムの新基準値案(1キログラム当たりのベクレル値)は、飲料水は10,牛乳は50,野菜、穀類、肉・魚・卵などは100です。上の基準値はこれ以上体内に取り入れないようにという値で、内部被曝によるおそれを示した値です。

外部被曝は私たちが放射線に曝された場合のことで、その影響は上に示した空間線量のシーベルトの値が大きいか少ないかです。このシーベルトの値は総放射線量で、どの放射性物質によるかは分かりません。原発の傍の浪江町で1時間あたり30マイクロシーベルト、ホットスポットの飯館村で5マイクロシーベルトなどと毎日報告されています。新潟市では0.065マイクロシーベルトくらいです。空間線量はシンチレーションカウンターで測定しています。

村杉地域は五頭花崗岩や花崗岩の礫が多い礫層の上や近くですので、花崗岩の中の放射性のあるカリウム40の影響で0.2~0.3マイクロシーベルトに近く、新潟市の4倍近い値です。

村杉温泉の温泉井戸の30センチメートル上では、0.25~0.40マイクロシーベルトです。共同風呂では0.30マイクロシーベルトです。共同風呂に毎日1時間入ったとしても、1年間に0.1ミリシーベルトで私たちが1年間受けている自然放射線よりも少ない値です。したがって外部被曝の心配はありません。

では村杉の放射能泉は本当に大丈夫でしょうか?

放射能泉はラジウム温泉ともいわれています。ラジウム226は半減期が1622年と長い元素です。しかし、ラジウムは放射能の高い池田温泉(29565ベクレル)でも、1リットル中に100億分の5.806グラムしか入っていません。
したがって、放射能泉にはラジウムはほとんど含まれていないといってよいと思います。ラジウム泉が正確でなくラドン温泉なのです。地下で花崗岩などの岩石中のウランが変わったラジウムから、さらに変わったラドンが温泉水に溶けて割れ目に沿い上がってきてできた温泉です。

ラドンは希ガス元素といわれる不活性気体で、水に溶けやすいが他の元素と化合しません。そして半減期は3.825日と非常に短い元素です。村杉温泉では、温泉法に定められたIM泉効計で測定した値が、1キログラム(約1リットル)あたり一号井は66マッヘ(891ベクレル)、二号井は85.3マッヘ(1151ベクレル)、三号井は71マッヘ(958ベクレル)です。

放射能温泉に入浴すれば暖まるほか、温泉水からでるラドンガスを吸入します。一種の内部被曝で、体内に入ったラドンはそれなりに細胞に影響(ホルシミス効果)を与えますが、不活性ですので化合物をつくり内臓などに蓄積することがなく体内に排出されます。ラドンの代謝や排せつにより減っていく生物学的半減期は約40分程度です。その上、一日中入浴するわけでもなく、湯治にきても長く滞在するわけではないので、一年間に体内に取り入れる量は多くはありません。

飲泉の場合はどうでしょうか?

村杉温泉長生館で室内に引いている飲泉用の水は392ベクレルです。セシウムの飲料水の暫定基準値(1キログラム)の10ベクレルと比べると40倍近いので心配する人もいると思います。

飲泉については、ラドンの基準値がないので比較できません。なお飲用を主とする外国では入浴療法に1リットルあたり1300ベクレル以上の温泉を用いているそうです。日本では飲泉として飲む量は限られ、ラドンの半減期が短いことから考えると、ほとんど心配はないと思います。

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